私達は日常の中で様々なものを測定しています。
理科の実験で使う天秤ばかりは、予め重さのわかっている分銅を使って物の重さを測定します。
しかし、現代では天秤ばかりを使って重さを測定することは、ほとんどないでしょう。
ほとんどの人が、体重計もデジタルのものを使ったことがあるでしょう。
それではデジタルの体重計はどのようにして測定しているのでしょうか?
デジタルと言うからには当然、電気を使って測定しています。
では、その電気の大きさ(これを信号の電圧と呼びます)を、どのようにして測定するのでしょうか?
ここで、改めて天秤ばかりの使い方をおさらいしましょう。
天秤ばかりは、一方の皿に測定したいもの(試料)をのせ、もう一方の皿に分銅をのせていきます。
分銅は重いものから順にのせていきます。
例えば、10gの分銅をのせて、わずかに試料のほうが重ければ、次に5gの分銅をのせます。
今度は分銅のほうが重くなったため、5gの分銅を除き、2.5gの分銅をのせます。
これで天秤が釣り合えば試料は12.5gとわかります。
電圧の測定方法にも似たようなものがあります。
電圧の測定では、分銅の代わりに基準電圧と呼ばれるものを使います。
分銅のように、予め値のわかっている電圧のことです。
信号の電圧と基準電圧との大きさを比較するために、天秤の代わりに比較器と呼ばれるものを使います。
まず、測定したい信号と基準電圧(10V)を比較します。
基準電圧よりも信号の電圧のほうが高ければ、基準電圧の半分の値を足して(10+5V)比較します。
今度は基準電圧のほうが高くなったため、基準電圧とその1/4の値を足して(10+2.5V)比較します。
このようにして信号の電圧を測定することができます。
このような回路をアナログ-デジタル(AD)変換回路と呼びます。
デジタルの測定器の多くはこのようなAD変換回路が入っています。
当社でもこのようなAD変換回路を用いて計測機器を製造しています。
Written by 鈴木(聡)
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