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文系から見たソフトウェア開発(2)

「それってなんの役に立つの?」

文系の人間なら、あるいは理系の人間であっても、愛すべき学問や趣味を持つ人であれば、
誰だって1度は言われたことがあるんじゃないでしょうか。

「えーと、なにより面白いし、
いやっ、その前にまず役に立つ、立たないのみを追求するのが人生ではなく......
人生をより豊かにするために......つまり......」

かくいう私も、文系の学部にいるというだけで、
まるで良い年して形の良いまつぼっくりを集めているといったかのような
ほほえましい目で見られてきたものです。
法学を学んでいたと言うと、いくらか風当たりはマシになりますが、その次はだいたいこう聞かれます。

「それじゃあ弁護士さんになるの?」と。

結局、ソフトウェア技術者になりました。

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どうやって社会の「役に立つ」のか......。
就職という人生の困難を前に、改めてこの問題に直面する大学生も多いことでしょう。

すべてがすべて、何かの役になんて立たなくってもいいじゃないかとは思えども、
この社会という仕組みの中では、誰かの役に立たないとお金がもらえないようなのです。

「それってなんの役に立つの?」

親戚のおばさまに聞かれたなら適当に「あはは」とでも言っておけばいいんでしょうが、
就活の場となると、少なからず真面目に考える必要があります。

哲学的なお仕事について、形而上学的なお給料を貰えたらいいのになあ。

大学3年生になった私は、どういう手段で身を立てていこうかと考えはじめました。

本を読むとか、ゲームをするとか、好きなものはいろいろあります。
しかし、企業研究を進めたり、試しにそっち方面のアルバイトをするにつれて、
【向いていない】と、ひしひしと感じたのです。

いずれも、自分は消費者であるが生産者ではない。
あるいは、「ちょっと生活できなさそうだ......」と思いました。

思うまま、ソシャゲ※1のテキストを書き綴る日々は楽しかった。
しかし、安かった。
どう考えてもコンビニでレジを売ってるほうが割が良く、いつでも代わりはたくさんいる。
そんなお仕事でした。
好きなことで食べていくのは、これほど難しいのかと思いました。

どうするかと考えたところで、私にはコンピューターの分野が良さそうだと思いました。
プログラミングにはあまり馴染みがありませんが、パソコンには日常的に触っているし、
私にとってほんのわずかに有利な分野で、適度に実用的である。
きっとこれなら勉強すれば生きていけるのではないかなあと思ったわけです。

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とりわけ文系の人間というのは不思議なもので、昨日までフランス文学を学んでいた人間が、
卒業すると急に公務員になったり、銀行員になったり、
サラリーマンになったり、バックパッカーになったりします。

そして、その無数にある選択肢の一つが、ソフトウェア技術者という道です。

私は文系の学部の出身ですが、別に「文系からソフトウェア技術者になって良かった!」とは思っていません。

大学で学びたかった分野が、たまたまそっちのほうにあっただけで、
理系の道を選んでから、その上でソフトウェア技術者になっても良かったのです。

しかし、「文系からソフトウェア技術者になる道があって良かった!」とは強く思っています。
実務経験がゼロであっても、希望する業界に入る道があるというのは、ありがたいことだと思います。

もしあなたが、大学のゼミではどうしてもウィトゲンシュタインについて学びたいと思っていて、
それがお金にはならないと心底わかっていて、
その道の研究者になれるとはまったく思っていなかったとしても、
思うままに勉強し、それから、将来の道の一つとして、ソフトウェア技術者を志すことができます。
案外、遠そうで近いところにあるものです。

※1ソーシャルネットワークゲームの略

Written by Y氏

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